こんにちは!Codeland(コードランド)の岡部です。
2025年9月20日(土)・21(日)・23日(火・祝)の3日間にわたり、プログラミング作品発表会「Codeland Challenge 2025」が開催されました。

本記事では、受賞作品を紹介します!

Codeland Challengeとは

コードランド生がテーマに沿ってオリジナル作品を制作し、発表する「プログラミング作品発表会」です。
今まで学んだプログラミングスキルを活かし、自分の力で一つの作品を完成させていきます。

<Codeland Challenge 2025の作品テーマ>
以下3つのテーマの中から1つを選び、作品制作に挑戦してくれました。

① 好きなものを紹介しよう
② 日常の「困った」を解決する道具
③ 学びを作る道具

今年は最優秀賞 1点、優秀賞 3点、特別賞 6点を選出いたしました。

審査員の紹介と全体への総評

国立名古屋工業大学 打矢隆弘さん
本当は全員に賞をあげたいと思うほど、皆さんの努力が素晴らしく、評価は非常に難しかったです。
今の子供たちはデジタルに慣れ親しみ、作りたいものや表現したいことが明確な作品が多かったです。
プログラミングが、自分の好きなものや個性を表現する一つのスタイルになっていると感じました。

特に素晴らしかったのは、頭の中の構想を『作りきっている』点です。
開発途中で様々な困難があったはずですが、それを乗り越えた『試行錯誤する力』を全員から感じました。

ゲームを『遊ぶ側』から『作る側』へ回ることは、これからの時代に非常に重要です。
皆さんのような若い世代がこのスキルを持っていることを考えると、日本の未来は明るいと強く感じました。
もし皆さんがコンピューターやプログラミングの道が好きなら、ぜひ私たちの大学にも来ていただきたいです!

最優秀賞 1名

スクラッチ「チェス オフライン対戦用」城戸たかあきさん

「自分の好きなチェスを他の人にもプレイしてもらいたい!」と開発された、初心者に優しいチェスゲームです。
初めての人でも直感的にルールを学べるよう、駒の動きを説明する機能や、「もしここに駒動かしたら?」を試せるゴーストボタン機能が搭載されています。

さらにチェックメイトを赤く表示するなど、複雑なチェスのルールを視覚的にサポートし、誰でもチェスを楽しめるよう工夫されています。

発表スライドもわかりやすくまとめられています

〜審査員からのコメント〜
・株式会社プロキッズ代表 原正幸さん
チェスという複雑なゲームを、初心者でも直感的に理解・操作できる形にまで落とし込んだ発想力と実装力が本当に見事でした。特に、駒の動きを一目で分かるようにしたホバー表示機能や、次の一手を試せる半透明コマによるシミュレーション機能は、チェスの初心者でも遊びながらルールを学べるよう工夫されており、非常に優れています。

さらに、Scratchで2,000ブロックを超える大規模プログラムを構築した集中力と根気には驚きました。中でも、チェック判定を「コマを超高速で移動させてキングとの接触を検出する」という発想は、まさに自分の頭で考え、試行錯誤を重ねた創造的なアルゴリズムです。こうした独自の発想で課題を解決する力こそ、エンジニアの本質的な才能だと思います。完成度も素晴らしく、まさにグランプリにふさわしい作品です。

・国立名古屋工業大学 打矢隆弘さん
チェスをプレイするには、基本的なルールだけでなく、特殊ルール、各駒の動き方や可動範囲、駒の利き、勝利条件など、さまざまな要素を理解する必要があります。本作品では、それらの内容を6つのボタンでわかりやすく学べるよう工夫されており、細部まで丁寧に作り込まれた作品だと感じました。

プレゼンでは、駒の利きを表示する機能の説明に加え、自動で王手を判定する際に生じる実装上の難しさと、それを克服するための挑戦的なアプローチが紹介されており、この作品の完成度を高めるために注がれた努力と情熱が十分に伝わってきました。今後の追加開発によってチェスの理解度はさらに高まりますので、チェス未経験の方々にとって、ルールを理解しながら楽しさを実感できる非常に優れた学習ツールになると感じました。

優秀賞 3名

Python「お天気AIチャットボット」上嶋春輝さん

自分のいる地域の天気を素早く知ることができる、Pythonで開発された「AIチャットボット」です。
ユーザーが質問を入力して、その内容を分析、適切な回答を出力するという構成になっています。
例えば「明日の天気は?」と入力すると、時間ごとに天気・湿度・気温を出力してくれます。

分析では、自然言語処理や形態素解析など大学レベルの内容が実装されています。
Pythonを学び始めて半年で、AIについても専門書を読み学習しながら制作された作品です。

〜審査員からのコメント〜
身近な「天気予報」を題材にしながらも、AIを「つかう」のではなく「つくる」立場に挑戦した、非常に完成度の高い作品でした。自然言語処理を中心に、形態素解析や意味類似度計算、さらに位置エンコーディングによる語順理解まで、大学レベルの理論を自ら実装している点に驚かされました。

また、OpenWeatherMap APIと連携し、気温・湿度・グラフ・熱中症警告などの複合情報を統合的に提示する構成は、十分な完成度を誇ります。特筆すべきは、LLMをあえて使わず、対話ロジックを一から構築した姿勢。これは「AIを理解し、再現する力」を身につけた証でもあります。

高校生の段階で、3か月にわたり専門書を読み込み、自分の頭で理論とコードを結びつけ形にしたことは、本当に素晴らしい探究成果です。AIの原理を理解し、自分の手で再構築した稀有な高校生エンジニアによる、技術と情熱が融合した優れた作品です。これからも、学んだ力を生かしてさらに新しい挑戦に取り組んでほしいと思います!

ゲーム開発(Unity)「楽しく化学で実験」佐野良哲さん

Unity内で化学の実験を再現したゲームです。
物質を手に持ってイベントリに入れたり、ビーカーをクリックして別のビーカーに注ぐことができます。

「苦手な化学も、実験のように経験すれば覚えられるのでは!」という発想から制作されました。
液体を注ぐときにエフェクトが出てくるなど、「リアル感」にもこだわった作品です。

〜審査員からのコメント〜
化学実験を仮想空間上で再現し、実際の実験室と同じように化学反応を体験できることで、理解を深めたり知識の定着を促すというコンセプトが非常に素晴らしいと感じました。
実験室の描写もとてもリアルで、まるで本物の実験室にいるかのような臨場感があります。さらに、化学反応で発生する気体の描写にもリアリティがあり、とても印象的な作品です。

今回の発表では、塩酸と炭酸カルシウムを混合する実験を具体例として取り上げ、化学式を空間上に表示することで、化学反応によってどのような変化が起こるのかが分かりやすく示されていました。楽しく化学を学べるというコンセプトは十分に達成されていると思いますので、今後は学習内容をさらに充実させ、学習教材としての完成度が一層高まることを期待しております。

iPhoneアプリ(Swift)「ノートレーナー」宇坂晟さん

お母様のピアノ教室で「音符が読めない生徒さんが多い」という、身近な課題を解決するために開発された「音符クイズ」です。
画面に表示された音符が何かを、7つのボタン(ドレミファソラシ)から選んで答えます。

タイムアップやスキップ機能といったゲーム性に加え、活動履歴で自分の成長を実感できる仕組みも搭載。
フォントを子供向けに丸みのあるものにするなど、デザインにもこだわった作品です。

〜審査員からのコメント〜
プレゼンでは、開発のコンセプトに加え、15種類の音符を7つのボタンから選んで10秒以内に回答する音符学習アプリの内容が紹介されました。画面構成や画面遷移、色・フォント・BGMなどにも工夫が凝らされており、楽しくクイズに取り組めるようデザインされていました。

さらに、不正解の要因(時間切れ・選択ミス・スキップ)が分かるように作り込まれている点も、細部まで配慮された特に優れた要素だと感じました。活動履歴の実装には難しさがあったとのことでしたが、その課題に向き合いながら前向きに取り組んだ姿勢は大変素晴らしく、今後もぜひその姿勢を大切にしてプログラミングを続けてほしいと思います。

特別賞 6名

アイディア賞:スクラッチ「朝ご飯ルーレット」重光憲臣さん

「朝ごはんの献立に悩む」というお母様の困りごとを解決するために開発された作品です。
スタートボタンを押すとわずか0.3秒で、1週間分の献立とそれぞれのタンパク質量が表示されます。
スマホにメニューをコピーできる機能や、同じメニューが続かないようにするなど、「使う人」の利便性をとことん追求されています。

〜審査員からのコメント〜
「5日分の献立提案」「栄養バランスの考慮」「飽きにくさ」「メモ書きの手間の省略」という4つのコンセプトを掲げ、それぞれを実際に形にしている点が非常に高く評価できます。いずれか一つではなく、この4項目すべてを満たすことが重要であるという考えのもと、ルーレット表現で献立を見せる工夫を組み込んでおり、着眼点やアイデアの素晴らしさを強く感じました。

プレゼンでは、工夫した点や苦労した点について具体的に説明されており、開発の過程で試行錯誤しながら機能を拡張していった様子が伝わってきました。また、完成した作品を実際にお母さんに使ってもらい、朝の笑顔が増えたというエピソードも紹介されており、作品の価値がしっかりと伝わる内容になっていました。

アイディア賞:Webサイト「はげましくん」森歌乃さん

不安や悩みがあり「誰かに励ましてほしい」と思っている人に向けて、アドバイスをしてくれるWebサイトです。
自分の気分に合わせて「やさしめ」「きびしめ」のモードを選択することができます。
パソコンだけでなく、スマホ版にも対応できるようデザインされています。


〜審査員からのコメント〜
「今の自分の気分」に合わせて言葉のトーンを選べる——その発想に感心しました。
自分の体験を起点にしているからこその素晴らしい発想で、Webとして誰もが使えることを考慮している点も素晴らしいです。

また、「やさしめ」と「きびしめ」を色と吹き出しで直感的に切り替えるUI、スマホでの見やすさまで整えた設計に、人に寄り添うデザイン思考を強く感じます。
テクノロジーで「優しさ」を届ける作品として、まさにアイディア賞にふさわしい取り組みでした。

プレゼン賞:ゲーム開発(Unity)「ピンポンゴースト」矢島冴人さん

卓球を駆使してギミックを攻略し、不思議な世界からの脱出を目指すアクションゲームです。
球を当てると「前に進むブロック」や「消えるブロック」など、ステージ上のブロックには様々な仕掛けが用意されています。
キャラクターもBlender(ブレンダー)を使って0からデザインされており、オリジナリティ溢れる作品です。

〜審査員からのコメント〜
卓球という身近な題材に「幽霊の物語」を組み合わせた、世界観の表現力が良いです。Unityでの物理演算やオリジナル3Dモデルを駆使しながらも、「なぜ幽霊が卓球をするのか」という物語的必然性がしっかりと伝わってきました。

色ごとに異なる特性を持つブロックギミック、そして幽霊が道を切り開くプレイ映像の説得力。発表の構成も非常にわかりやすく、ストーリー、ゲームシステム、実演という流れで整理されており、プレゼンテーションとしての完成度が素晴らしかったです。

技術・スキル賞:スクラッチ「Online Platformer」西村和真さん

キャラクターを操作して敵を倒したり、アイテムを取得したりしながら、ステージクリアを目指すゲームです。
最大のポイントは、自分のキャラクターの動きが友だちの画面にもリアルタイムで表示されるところです。
オンライン上でマルチプレイができ、離れた場所にいる友だちと一緒に遊ぶことができます。

〜審査員からのコメント〜
Scratchという環境の制約の中で、ここまでオンラインマルチプレイ体験を再現したことに、まず驚かされました。「世界中の人と一緒に遊べるゲームを作りたい」という想いを、クラウド変数などの技術を巧みに使って形にしています。

また、2Dスクロールのステージ構成、カメラ制御、敵・アイテムの仕組みや演出テンポまでを総合的に設計しており、プレイヤーが「遊んで気持ちいい」と感じる体験づくりがしっかり意識されています。今後予定しているチャット機能も、単なる追加要素ではなく、プレイヤー同士の交流や感情をつなぐ世界観の拡張として実現してくれるのを楽しみにしています。

新人賞:スクラッチ「動くとなるタイマー」清水亮太郎さん

「朝、なかなか起きられない人」のために作られた、動かないと止まらない目覚まし時計です。
スクラッチのビデオモーション機能を使って「体が動いた」と感知するまでアラームが鳴り止まないため、強制的に体を起こすことができます。
リストを使ってアラームを複数設定できたり、起きない時間が続くとアラームの音が変わるなど細部にもこだわっています。

〜審査員からのコメント〜
「動かないと止まらない」というユニークなアイデアを、ビデオモーションセンサーを使って実際に仕組みとして実装できている点が素晴らしいです。特に、複数のアラームをそれぞれ異なる時刻で制御し、誤作動を防ぐために変数とフラグ管理を活用した構造になっており、ロジック設計力の高さを感じました。
また、単なるアプリではなく、「朝が苦手な人を助けたい」という人の課題解決を目的にしたプログラミングになっており、新人としての成長意識と社会的視点の両方が光っています。

努力賞:スクラッチ「センサーを使って動物を見つけよう!」松添月音さん

画面の中に隠れた動物を探すゲームです。
マウスを動物に近づけるとヒントの円がだんだん小さくなり、その「センサー」機能で場所を特定します。

見つけた動物をクリックすると、その生態や雑学が表示されます。
ゲーム感覚で遊びながら、楽しく動物の知識を学ぶことができる作品です。


〜審査員からのコメント〜
背景ごとに出現する動物を変える仕組みや、センサーで距離を測って反応を変える発想が素晴らしいです。特に、背景が変わるたびにプログラムを作り分けたり、動物への「えさを与える条件」や「全員発見後の画面切り替え」などを丁寧に作り込んでいる点から、熱心に取り組んだことが伺えました。
ゲームを遊ぶだけでなく、「生き物の生態を知る」という学びの要素がしっかり盛り込まれており、教育的価値も高く、まさに「学びを作る道具」としての探究心と努力が光る作品でした。

互いに刺激しあい、さらなる高みへ!

受賞された皆さん、本当におめでとうございます!
また、発表会に挑戦してくれた参加者の皆さま、素晴らしい作品をありがとうございました。

困難にぶつかりながらも最後まで「作りきった」経験は、今後の大きな力になると思います。
受賞者の作品に刺激を受けて、「明日からもプログラミングをもっと頑張ろう」とさらなる高みをめざすきっかけになっていれば嬉しいです。

コードランドは、これからも皆さんの「やってみたい!」という気持ちを全力でサポートします。
来年の「Codeland Challenge」で、さらにパワーアップした皆さんの作品に出会えることを、楽しみにしています!